3種類のGoogle(Alphabet)株。クラスAとCとBの違い

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 「Googleの株を買おうとしたら、Class AとClass Cの2種類あった。どちらを買えばいいの?」

 という方は多いのではないでしょうか。私も最初はわかりませんでした。
 結論としては、違いは議決権の有無で、どちらのクラスを買っても構わないと思います。

 また、実際には購入できない Class B も存在します。そちらを含め、Google(実際にはAlphabet)株が何者か、分かったうえで購入した方が良いと思いますので、覚えて帰ってください。

はじめに結論

・Alphabet が Google の株。
・Class A は議決権あり、Class B は創業者のみ、Class C は議決権なし
・Class A、Class C どちらを買っても良い(Class B は買えない)

まず、Google株ではなくAlphabet株

 検索サイトで「Google 株」と検索すると、「Alphabet Inc Class A」という株価が表示されます。

なに?Alphabetって。私はGoogleの株を買いたいのに!

実は、Googleという名前の株はないんです。

なぜ、Alphabetが設立されたのか

 2015年10月2日、当時GoogleのCEOであった、ラリー・ページ氏は、公開持ち株会社として「Alphabet Inc.」を設立しました。設立経緯は、Googleにある個別の事業の方向性に、統一性が見出せなくなったから、と言われています。

 Googleの事業といえば、当然ながらインターネット事業をやっているGoogle以外に、動画共有プラットフォームのYoutubeが有名ですが、実際には買収等により200ほどの個別事業がありました。

 個別事業の中は、十分に採算が取れていたものもあれば、Googleの検索、広告によって助けられていたものもありました。特に後者が落ち込んだ場合に、Google本体の株価が影響する懸念がありました。

 個別事業の独自性は高めたいが、全体の管理は引き続きを行いたい。その目的を達成するため、持ち株会社という形を取ることになった、と言われています。

  • 個別事業をグループ会社として分社化することで。独自性を高める。
  • 分社化した会社を、Alphabetという持ち株会社で包括的に管理する
  • Google自体も子会社化する
    →Googleは子会社となったため、今まで「Google株」であったものは「Alphabet株」となる

という具合です。

 ここまでで、Googleを買うためには「Alphabet Inc.」の株を買えば良いということは分かりました。では、「Class A」とは何でしょうか?

 実際には3つのクラスがありますので、そちらを説明します。

Alphabet株のクラスは A〜C の3種類

 Alphabet株には、以下の3種類があります。

  • Class A(ティッカー:GOOGL)
  • Class B
  • Class C(ティッカー:GOOG)

以下、それぞれ見ていきます。

Class A(GOOGL)は議決権ありの株式

 Class A は、1株で1議決権を持った株式です。

 当初、こちらの議決権ありの株式のみが、ティッカーシンボル:GOOG として存在していました。ただ、2014年に株式分割がされた際、Class A と Class C に分かれました。投資家から見ると、株式分割されたうちの半分を、議決権なしで渡されたことになります。

 その際、Class A の方は、ティッカーシンボル:GOOGLに変わりました。

Class B は上場しておらず、購入できない株式

 Class Bは、Class A の10倍の議決権がある、非上場の株式です。

 保有者については、3人のみ(創業者のラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン両名と、元CEOのエリック・シュミット)と言われています。

 発行済株式数は、Class A、Class C が約3億株ずつ、Class B は情報を確認できませんでしたが、全体の発行済株式数から見ると、約4,600万株と推測されます(2022年5月現在)。

 仮に、Class A 株を誰か一人が占有したとしても(約7,000億ドル必要ですが)、会社が乗っ取られないような仕組みになっています。

Class C(GOOG)は議決権なしの株式

 Class C は、議決権を持たない株式です。
 Class A でも記載しましたが、2014年度の株式分割の際、株主に渡されたクラスです。

 また、Alphabetは、社員へのストックオプション(自社株を、あらかじめ定められた価格で取得できる権利)を、Class C に対し付与しているようです。

Class A と Class C はどちらを買うべきか

 では、Class A と、Class C は、どちらを買えばいいのでしょうか。

Class A と Class C の株価比較

Bloombergのページから引用


 青色の線が Class A(GOOGL)、黄緑色の線が Class C(GOOG)です。

 通常、議決権のある Class A の方が高くなります。実際に Class A の方が高かった時期もありますが、2021年以降は、2022年5月現在まで Class C の方が高い状態です。理由は、自社株買いの影響と言われています。

議決権なしの Class C が割高であった理由

 2014年に株式分割がされた後、しばらくは Class A の方が割高でした。ただ、前述の Class B があるため、Class A の議決権の価値(議決権プレミアムと呼ぶこともあります)はないといっても良いでしょう。そのため、Class A と Class C の価格はほぼ同じになっていました。

 そんな中、Alphabet は自社株買いをしていますが、2021年4月の自社株買いでは Class C のみが対象とされました。自社株買いは、投資家から見ると買われた分価格が上がる=株主還元に繋がる、となります。その影響で2021年4月の株価は、Class C が大きくリードする形となりました。

 その後、2021年7月に「自社株買いは今後、AもCも行う。どちらを買うかは両者の株価を考慮する」というアナウンスがあり、また株価がほぼ同一になった、と言われています。

どちらを買うべきか、SBI証券に聞いてみる

 上記のとおり、2銘柄に優位性はないと考えられます。

 そのため、どちらを買うべきかは、人気のETFを参考にしてみます。
 SBI証券にて、2021年の年間保有銘柄ランキングが載っていました。

SBI証券「【大人気!米国株式・米国ETF】2021年年間ランキング」より引用

 この中で、人気のVOO、VTIにおける、Alphabet株の保有数量を見てみます。

  • VOO:Class A 2.27、Class C 2.11
  • VTI :Class A 1.92、Class C 1.71
    (単位:百万)

 どちらも、Class A の方が保有されていることが分かりました。
 時価総額からほぼ機械的に購入していると思われるため、Class A の方が多く保有されている理由は不明です。

 推測ですが、どちらもGoogle株時代から構成銘柄として組み入れていて、株式分割でClass A と Class C を同数保有することになり、その後自社株買いの影響で Class C の保有数量が下がった、ということかもしれません。そのように考えると、「主要インデックスファンドが多く持っているから、Class A の方が良い」とも言えません。

結論:どちらを買っても良い

 Class A と Class C の2銘柄について、一方に優位性がなく、有名なインデックスファンドは少し Class A が多い、という具合でした。そうすると、一般投資家としては、2銘柄の選択基準は、購入しようとした場合にどちらの価格が安いか、ぐらいしかないと思われます。

 そのため結論としては、「どちらを買っても問題ないので、買おうとしたときに安かった方を買ったらどうか」ということになります。

終わりに

 今回は、3種類のAlphabet株についてでした。

 1社の株を購入しようとして、2つ出てくるケースはたまにあります。他社の場合、Alphabetとは事情が異なるかもしれないので、確認してから買うようにしましょう。

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